HISTORY

大郷戸（おおごと）ダムの畔で実施された「ましこ・水と森の収穫祭（通称：まみも収穫祭）」を、ひやくしよう塾 塾長として企画実施しました。

ひやくしよう塾の「ひやくしよう」とは、「飛躍（ひやく）しよう」と「百姓（ひゃくしょう）」を意味します。「百」の「姓」、つまり業種を問わず様々な方々と連携して活気のある町おこしに取り組んだ「知的バカ集団」です。

メンバーの顔ぶれは農業出身者・町商工会青年部・公務員・主婦・フォトグラファー・陶器職人・司法書士・呉服店経営者など様々。
活気のある町づくりを考えた時、単一の職種の者だけで話し合っても「コップの中の議論でしかない」ということに気づき、様々な職種の方達に呼びかけを行いました。

こうしたメンバーにより・企画・実施された「まみも収穫祭」は、益子の食があり、農業体験があり、あんべ光俊コンサートあり、お囃子あり・太々神楽あり。都市生活者と地域を結びつけ、結果として地域も元気になる、1994年の当時としては異例の町おこしイベントになったと思います。

まみも収穫祭開催の2年後にあたる1996年9月3日に発足したのが「よかっぺ群 山本元気村」です。
山本元気村を地域の仲間と共に立ち上げ、初代村長として活動致しました。

それまでの農業の軸足であった水稲・タバコ栽培から畑作物・果樹栽培への転換をしていくにあたり、「自分たちの生産物を自分たちの手で販売」「生産者の顔が見える農業・消費者と直接結びついた農業」を目指し、消費者がいつでも足を運んで農業体験をすることが出来、ここに来た人もここに住む人もほっとするような地域づくりを念頭に、農産物や加工品に加え、山の緑、ダムの水、澄んだ空気、そして農業体験を販売していこうと発足させた組織です。

松本地区を中心に多くの農家に参画していただき、観光農園や直売所・1日に120名を集客した大人気イベント「ミステリーツアー」の実施など、農業だけでなく地域の魅力を自分たちの手で発信しました。都市部から地域に来る方は自然や農業に触れて元気になり、住む方も自然に触れて喜ぶ都市部の方を見たり、自分の作った農産物を買っていただいたりして元気になる。そんな地域づくりを行ってきました。

まみも収穫祭や山本元気村での活動を通じて山本地区は、「元気のある地域」として、次第に周知されていきました。そのような折、栃木県より2001年「美しい農村景観ビジョン推進事業」、2003年〜2005年「ふれあいの郷づくり事業」の実施について山本地区に打診があり、これに地域として参加しました。

これらの事業内で実施したワークショップでは、地域に「あるもの・ないもの」、地域の方が「地域に対して感じていること」を点検。そして、ワークショップで現れた事柄に基づく地域づくりを山本の各地区で、事業として実施しました。このような流れの中で、私の所属する松本地区として形にしたのが50年ぶりの「松本歌舞伎舞台」の復活でした。

50年間途絶えたものを復活させることは並大抵のことではありませんでした。しかし、地域の仲間と共に本気になって汗を流し、形にした松本歌舞伎舞台の復活をやり遂げた時、関係者は皆、感動しました。

また、こうした「協働」を考える時、重要だと感じた事が2つありました。1つは、「地域の方それぞれの得意なことや役割分担を皆で共有している」事、もう一つは、地域の方々の顔が揃い、それぞれが関心のある事柄を気軽に話し合う場である「地域コミュニティの存在」です。

こうした地域づくりの下地が無ければ、50年ぶりの松本歌舞伎舞台の復活は成し得なかったと思います。これらの経験は、これから私たちが目指す町づくりにも応用できるものと確信しています。